読書『感情労働シンドローム』Ⅲ

仕事別考察の章では、やはり教師のケースが出てくる。

~50代の教師は、自分が仕事を始めたころは、日本にまだ勢いがあり、先生のアイデンティティも確立していたのですが、自分が教師としてのキャリアを積むほどにそれまでの経験が活かされないばかりか、どんどん生徒との関係が悪化してきてどうしたらいいかわからないということでしょうか。~

とても共感できる文面である。教師としてのキャリアを積むほどに経験が活かされないのはなぜか。我が地区では小中学校間の異動はよくある話だ。小学校の中でさえも低学年と高学年の扱いは大きく違う。指導分野は多岐にならざるを得ない。そもそも経験の蓄積自体が難しいし、蓄積しようという発想がない。その余裕もない。

~教師で精神的な疾患にかかってしまうのは、40代から50代が一番多いのです。ベテランの域に達した今、教え方も、受験準備も、生徒指導も、それなりに蓄積してきたはずなのに、なぜか生徒との関係がうまくいかず、毎日がつらいといいます。同世代の教師は時代の潮流から取り残された感じがあるのでしょうか。~

経験を重ねたからと言って、生徒との関係がうまくいくものでもない。生徒との関係は経験とは関係ないのだと思う。ただ言えるのは、どこかの本にも書かれていたが、人間の能力のピークは45歳くらいだということだ。それ以降は関係を築く能力も衰えていくものと考える。45歳くらいから管理職へと上がっていくというのはなかなかよい制度だとも思う。

時代に取り残されたとは思わないが、もう自分の時代ではないな、とは思う。だから欲張らない。競わない。微力ながら手伝わせていただくというスタンスでやっている。