読書7-2『人ったらし 』(亀和田武)

人ったらし (文春新書)  – 2007/10/19 亀和田 武  (著)

この人、テレビで見たことがある。ワイドショーかなんかのコメンテーターをしていた人だ。本作は『会った途端に魅了されてしまう、日常にスリルとサスペンスを与えてくれる―「人ったらし」の魅力に迫り、加えて「人ったらし」になるコツを伝授』とデータベースにかかれていた。

~世の中の人間すべてが誠実で謙虚になり嘘やデマカセがどんな街の隅からも追放された社会ってそんなに素晴らしいものなのかい、とようやく私は思い至ったのだ。~

ついこの前紹介した山田太一と似たような考えなのだな。清廉潔白では逆に居心地が悪いのだ。ただ私は職業柄、「誠実であれ」とか「嘘をつくな」と人間を正すようなことばかりしている。

~「いい人ね」といわれたら無能の烙印を押されたと思って「このままじゃオレもオシマイだ」くらいの危機感を持った方がいい。「油断のならない奴だな」とか「一筋縄でいかない奴」と陰口を叩かれてこそ一人前であり、ようやく「人ったらし」の域に達したといっていいだろう。~

私は「いい人ね」と思われたい。どう思われているかわからないけど、その反対を思ったことはない。だけど自分が病気になった原因も、周囲にいい顔ばかりしてがんばりすぎたことにあると思っている。「いい人といわれる者は無能」、分かる気がする。素のままでいい人と呼ばれるのならいいのだが、そうではなく、人の顔色ばかり窺っているのは能が無いことなのだろう。どうせ自分なんか「いい人」になれないのだから。陰口を叩かれるような人間を目指した方がいいと思えてきた。(R4.10/7記)