読書7-2『人ったらし 』Ⅱ

『人ったらし』のいろんな要素が挙げられている。

~彼はたしかに話術の才能に長けた話し上手ではあったが、だが、その何倍も「聞き上手」であったのだ。~

私は組合の会合がある時は、できるだけ話さないようにしている。職場の不満でも何でも、他の参加者にいっぱい話してほしいと思っているからだ。でも、話したいのをがまんしているレベルではだめだな。

~彼の仕事内容に、これだけ興味を持ってくれた人間は、これまでいなかったにちがいない。夢中で話している男の顔を見ながら、あらためて彼の聞き上手に圧倒された。~

その人の話に興味を持つこと。そしていろいろと質問をすること。いちいちうなずくこと。

~「おねーさん、お水ね」こんなどうってことのない一言でもって「人ったらし」はその場の雰囲気を一変させることができる。肩の力をぬいた余裕のようなものが、その場に居合わせた全員にじわっと伝染していく。~

声の主は桑田佳祐だ。筆者と喫茶店で取材したときのことである。ここから筆者は、こういう身のこなしができるのは、自家営業の子どもだからだ、と主張している。

~お金を稼ぐことっていうのは、相手のお客さんに頭を下げることであり、相手の人が気持ちよくなるように接することだ。~

頭を下げること、相手が気持ちよくなるよう接すること。それこそがサービス業だ。翻って私も公共サービス業。保護者には頭を下げているが、子どもに対してはどうだろうか。頭を下げていては、気持ちよく接していては指導にならない、とも言える。だが、そうしないかわりに、何ができているのだろうか。(R4.10/11記)