読書『大人のお作法』(岩下 尚史)

大人のお作法 (インターナショナル新書)  – 2017/1/12 岩下 尚史  (著)

著者は花柳界とか芸者とかに造詣が深い。私にはまったくわからない世界なのであるが、なぜか説得力は強く、読後の印象も強かった。

花柳界に限らず遊びの場というのは、そもそも金を捨てに行くところです。捨てるから気が晴れるんです。スカッとするんです。だって銭金を稼ぐときの不愉快さというものは堪らないでしょう。~

なかなかこういう気持ちになれない。私とは正反対だ。遊びには金がかかるなあと思ってしまう。私の遊びは映画やサッカー観戦。金を捨てるというよりも、金をかけた分だけ楽しもうと思ってしまう。

~何にでも対価を求める男ばっかりです。払った金に見合った具体的な何か。それを手に入れないと納得できないという浅ましい人がやたら多い。~

私のことだ。私は浅ましいんだな。要するに、けち、せこい。もっと気前の良い男になりたい。

~どんな時代だって、ひとが暮らすのに楽だったことなど、一度もありはしませんよ。誰だって生きていれば、渡世に難渋するのは当たり前、貧乏人も金持ちも同じことです。一寸先は闇の娑婆世界に、多寡の知れた何百万くらいの銭なんて、職をなくしたり、災害や事故にあったりした時には、それこそ焼け石に水で、どれほどの役にも立ちはしません。~

文字をうっている今でさえ、私は背中の痛みに苦しんでいる。先週はなんともなかったのに。しばらくリハビリに通うことになるのだが、こんなとき貯金なんて役に立たないなと思う。それでも著者のいう「多寡の知れた何百万の銭」という感覚にもなれないな。著者のお金に対する考え方、次回も紹介したい。(R3.11/29記)