彼女のいない部屋（2021）SERRE MOI FORT/HOLD ME TIGHT 監督 マチュー・アマルリック
早朝に座禅に行ったのだが、その後のお茶の席で「予想以上に良かったこと」が話題になった。先日の『ザリガニ～』もそうだが、本作もそういう作品であった。隣市のミニシアターへ今日も自転車で向かう。途中のコンビニでコーヒー休憩。劇場に入ると恩師にばったり出会った。約30年ぶりだろうか。
評価は高くなかったので、期待せずに鑑賞したが、作り手の工夫がとても興味深いのだ。ヒロインと残された家族。その二つの筋が、断片となって、映し出される。一見意味が分からなくなりそうなのだが、それが微妙に関連づいていて、興味を引き離さない。
分かりづらい作品は敬遠されがちだ。しかし、ちりばめられた断片をどうつなぐかは観る者に任されている。はっきりとしたストーリーでなくとも、断片をつなぎ合わせると、心に訴えてくるものが現れてくる。それがじわーっとする感動になる。
劇中何度も登場するスプリンターカリブのような旧車にも注目。秀でた作品と呼びたい。（R4.11/26記）
