映画『WANDA/ワンダ(1970)』

WANDA/ワンダ(1970)WANDA 監督 バーバラ・ローデン

『沸騰』鑑賞後、続けて本作を鑑賞。本作は主役が、実は脚本も監督も担っている。自国では黙殺されたが他国の映画祭で高評価を受けたそうだ。

先の見えない、退廃的な映画と言っていいだろう。希望が見えないという点では『ダンサーインザダーク』と雰囲気が似ているかもしれない。

酒場で男と女が簡単にくっつく。そして女はあっさり捨てられる。その時代、女はそういう存在だったのだ。終始、クルマの音が気になった。高速道路沿いで、ホテルの中で。メインストリートを行き交う勝利者に対し、その陰で、自分を「バカ」と呼び、「できない」を連呼する女が、たくましく生きているのだ。それが対比されているようで、いっそう切なくなる。

『沸騰』を観た後だったからだろうか、「全財産亡くしたって生きていけるのではないだろうか」と思ってしまった。が、この作品は50年前なのだ。現代はどうなのだろう。(R4.9/10記)