映画『ジャスト6.5 闘いの証』

ジャスト6.5 闘いの証 (2019)METRI SHESH VA NIM/JUST 6.5監督 サイード・ルスタイ

朝から強い雨の土曜日。絶好の映画日和なのに、隣市のミニシアターでは3人くらいしか客がいない。要するにそういう映画だったのだ。人生初のイラン映画だろう。私はサッカーが好きなのだが、「中東の笛」という言葉があるように、イランとかイラクというあの辺の国は一癖あるというイメージだ。

冒頭、麻薬犯を追いかけるシーンは、今まで観たことのない緊迫感があり、ゾクゾクした気分になった。しかしそこに慣れると、あとは麻薬捜査官の日常といった感じで展開が進まず、正直寝落ちしてしまった。

一番心に刻まれたのは、スラム街の場面だ。あちこちに土管が積まれており、その中で人々は生活し、コミュニティが出来上がっている。土管生活なんて昭和の空き地のイメージだ。わが国も決して豊かではないと思うが、世界では底辺はまだまだあり、きっと貧富の格差もさらに広がっているのだろう。イランやイラクアメリカをよく思わないことになるほどという気持ちになった。イランの実情がよくわかる映画だった。