読書『人生を面白くする 本物の教養』Ⅻ

どれも染みる言葉だなあ。

~仕事や職場がすべてだと思っている人は、じつは仕事や職場に依存し従属しているにすぎないのです。それでは人間としての視野が狭すぎます。仕事や職場がすべてではないと気付く必要があります。みんながみんな置かれた場所で咲く必要などどこにもないのです。~

私は休職中にいろんな本を読んだが、心に刺さったものの一つに『君たちはどう生きるか』がある。物語中の「おじさん」に心底惹かれたものだ。「おじさん」は博識で、生き方に迷うコペル君に実に的確なアドバイスをする。自分はどうか。教え子にも、実の娘にも、生き方のアドバイスをしてきたか。できるか。自分は、人間としていかに狭いか思い知った。勤務時間が過ぎて職場にいてはいけない。もっと自分を広げなければいけない。娘にはできなかったが、せめて孫には生き方を説いてやりたいと思うのだ。

~人類が登場してからの時間はたったの0.004%、ほんの一瞬です。人間の文明は地球の表面にこびりついたカビのようなものです。所詮私たちの文明はカビ程度なのだという認識を持っていれば、仕事や職場のことなどじつに小さなことだと割りきれるのではないでしょうか。~

遅くまで仕事をし、家と職場を往復するだけの生活をしていると、こういう発想さえもできなくなる。こういう視点を持つことができるのも、やはり視野の広さゆえなのだろう。

~今の私たちは人間性を保持した生き方ができているでしょうか。基本的人権さえ保障されていない労働環境が蔓延しています。~

基本的人権を保障するために労働法がある、はずである。

 

 

映画『偶然と想像 (2021)』

偶然と想像 (2021)  WHEEL OF FORTUNE AND FANTASY  監督 濱口竜介

2022年初めての映画は、隣市のミニシアター。昼前の上映なので、弁当を持って、自転車で出発、途中のコンビニでコーヒーと弁当を食べて劇場に至る。高評価と聞いて鑑賞することに決めた。

短編小説のように3つの物語からなる映画です。一本目の「偶然」はなさそうでありそう。それよりヒロインの性格がすごい。二本目は「偶然」というよりも間違いかな。ラストは思いもよらぬ展開でした。まあとにかく教授が気の毒です。三本目は「想像」が強いか。それでも、奇妙なストーリーに圧倒されながらも、登場人物の気持ちになぜか同化されて、うっすら泣けてしまったのです。3本とも、どの役者も演技が上手で、ストーリーに没入できるのもいい。時折流れるクラシック音楽も効果的です。

三本それぞれが、それぞれ違う年代を描いていて、どの年代の人が見ても共感できそうです。特に私は三本目に共感しました。新年早々、素晴らしい映画に出会えました。必見です。(R4.1/3記)

読書『人生を面白くする 本物の教養』Ⅺ

「どうでもいい」ことについて続けたい。

~人生にとって重要なのは2,3割の仕事か7,8割の生活かと言えば、考えるまでもなく、7,8割のほうに決まっています。だから仕事は「どうでもいいもの」なのです。「ライフワークバランス」と言い直すべきです。仕事命、職場命の価値観は見直す時期に来ています。~

~仕事は「どうでもいいもの」だという価値観があれば、自分の信念に従い思い切って仕事をすることができます。仕事など「どうでもいいもの」だと割り切り、相対視すれば多少失敗しても自分の人生(ライフ)に関係がないし、上司の心証などそれほど大したことではないと割り切れますから、かえって堂々と自分の信念に従った仕事ができます。~

そういえば昨年、私は年休取得率を上げるためにも、いてもいなくてもいい会議があるときは年休を取って帰るようにした。また、作成に納得できない書類を提出しないこともあった。もう私は、「自分の評価は最低で構わない」と思っている。自分の信念に従った仕事はできてないけど、とりあえず自分の信念に従った生き方はしている。

~8760対2000という単純な数式が頭の中にあれば、たかだか2,3割のワークにそれほど悩む必要なないということが見えてくるのではないでしょうか。…私たちは職場や仕事を背負い込みすぎてはいないでしょうか。~

自分はあの時、何をそんなに悩んでいたのだろうか。そもそも大したことではないし、自分だけの責任でもない。投げ出してしまったこと自体、大したことではない。きついなと思ったら逃げて、休んで、またやり直せばいい。それだけのことだったのだ。そもそも、仕事に報酬以上の何か期待するのもおかしい。ましてや自己実現しようなんて間違っていたのだ。(R4.1/3記)

読書『人生を面白くする 本物の教養』Ⅹ

本書で私が一番心に刺さったところだ。

~1年は8760時間です。そのうち仕事をしている時間は残業を入れてもせいぜい2000時間程度。ということは私たちが仕事に費やしている時間は2割ちょっとにしかなりません。~

言われてみれば全くその通りだ。私は3年前までは、2割ちょっとの時間に命を懸けていた。

~私たちの現在の日本人の価値観や人生観は、職場や仕事に少々偏りすぎているのではないでしょうか。仕事の話はできても、文学、美術や音楽、歴史や宗教の話ができないというのもその偏りに起因しているのだと思います。~

私も、仕事の話くらいしかできない。要するに人間としての幅がないのだ。教養がないのだ。

~人間にとって仕事とは何かといえば、「どうでもいいもの」だとあえて言っておきたいと思います。その趣旨は「2,3割の時間より、7,8割の時間の方が大切ではないですか?」という問いかけです。はっきり言って2,3割の仕事の時間は、7,8割の時間を確保するための手段にすぎません。~

「仕事などどうでもいい」と見事に看破していることに感銘を受けた。いい授業をしようと、良いクラスを作ろうと死に物狂いでやってきた。成果が出ずに、自分の実力や運を恨み、それでも負けじと努力を続けていた。が、結果が出ずに、ついには力尽き、仕事を放り投げた。仕事を休んでいた時に、この本、この言葉に出会った。

よく「仕事がなくなったら収入がなくなる」と言う。「だから必死にやれ」と。だが、ゼロサムではない。逆に考えれば「収入さえ得られればいい」「解雇されなければいい」のだ。勤務時間は全力でやる。しかし、それ以外は仕事のことは考えない。話題にもしない。私はそうなった。かえってその方が仕事に集中できる気がするから不思議だ。(R4.1/2記)

映画『私はいったい、何と闘っているのか (2021)』

私はいったい、何と闘っているのか (2021)  監督 李闘士男

『~ファイヤー』の後、お手頃コーヒーチェーン店でおやつ休憩。そして次は本作へ。今回、鑑賞料金1900円のところ、地下街の金券ショップで1500円で入手。3本観たから合計1200円の節約ができた。

この作品、高評価ではない。でも映画祭りだから3本目を観ることにした。主演の安田顕は独特な個性を放つので、好きな俳優だ。

安田顕が演じるスーパーの主任が、様々なトラブルに巻き込まれるドタバタ喜劇だと思い込んでいた。しかし、ストーリーの前半は確かにそうであったが、後半に進むにつれて、味わい深い物語になっていった。

中後年のスーパーの主任の悲哀は、一担任の私の悲哀と同じ。私も娘二人を持ち、どちらも巣立っていった。子どもを育てる20数年などほんとにあっという間だ。少なからず共感してしまった。

大きな感動はない。じんわりとした感動。でも、残虐、激しいアクション映画を2本続けて観て、心を癒す最適な映画だった。中高年には絶対観てほしい映画です。(R3.12/30記)

 

映画『レイジング・ファイア (2021)』

レイジング・ファイア (2021)  怒火/RAGING FIRE  監督 ベニー・チャン

韓国映画を観て、地下街でサンドイッチを食べてまた劇場に戻る。本作品も観たかった作品だ。主演のドニー・イェンを知ったのは『イップマン』だ。強そうじゃないのに強い。この作品にもカンフーアクションを期待していた。

今回、ドニーは刑事役なので、カンフーだけでなく銃撃戦、カーチェイス、ナイフとバトルも多彩だ。でも、ドニー、すごい。なんと彼は私よりも年上なのだ。なんとも見上げたカンフー魂、役者魂だ。

この作品の敵役は、韓国映画ほど濃くはない。怖くはないけど、かっこいい。香港では人気の俳優ではないかな。どちらにしても、たくさんの人が死んでいる。それから警察という組織が抱える闇も見させられる。

同じような映画を2本続けて観てしまったが、この作品も高評価を裏切らない娯楽大作です。(R3.12/29記)

映画『ただ悪より救いたまえ (2020)』

ただ悪より救いたまえ (2020)  DELIVER US FROM EVIL 監督 ホン・ウォンチャン

仕事納めも終わり本日より名実ともに冬休み。この時期、家人が実家に帰るので、「冬休み映画祭り」と銘打ち、中核都市に繰り出すことにしている。ジョギング、市への買い出し、喫茶モーニングとこなし、電車に乗って劇場へ向かった。

結構評価の高い作品だ。韓国映画だし、ハードボイルドだし、期待は外さないだろうと。予想通り、物凄い映画だった。主演はファン・ジョンミン。この人、いい作品には必ず出てるよね。でも、特筆なのは相手役です。物凄く怖い。『孤狼の血レベルⅡ』の鈴木亮平よりもさらに怖い。グロいシーンがなくても十分怖い。

アクション、バトル、カーチェイス、銃撃戦、ガチの戦いが盛りだくさん。韓国ヤクザがバンコクの街を戦場とする。韓国映画は、ハリウッド映画と肩を並べているな。壮絶な戦いを魅せられ、茫然自失になった。それだけ凄い映画、おススメです。(R3.12/29記)