映画『川っぺりムコリッタ(2021)』

川っぺりムコリッタ(2021)監督 荻上直子

前作を観た後、すぐにチケットを買い、本作を鑑賞。

前科者の再生物語である。「食」「格差」「死」といろいろなテーマが含まれている物語だ。主人公の就職先はイカの塩辛工場。実際、ああやって作られているのだな。隣人は手作りの野菜を持ってくる。この飽食の時代に、前科者を含め、登場人物は、貧しい生活である。しかし、味噌汁と塩辛と野菜、それだけでも、とても旨そうなのだ。本当はこれで十分なのだ。

家族と死別し、悲しみを背負いながら生きる松山、ムロ、満島。「人間はいつか死ぬのです」と墓を売り歩く吉岡。どんなに贅沢しても、貧しくあっても、大雨であふれた川に流されるように、命はなくなってしまう。命なんてはかないものだ。

笑いあり、うるっとするところあり、そしてううんと考えさせられる、問題提起の多い映画だ。社長の緒形が松山にいった言葉が一番心に残った。(R4.11/5記)