映画『さかなのこ(2022)』

さかなのこ(2022)監督 沖田修一

早朝から座禅に行き、喫茶モーニングを済ませてから隣市のミニシアターへ向かった。とてもいい天気、いつも通りの自転車である。本作を選んだのは、別にさかなクンが好きなわけではないのだが、サイトの評価がよかったのだ。

魚が心底好きな女の子の成長物語である。さかなクンの自伝かどうかはわからないが、とても面白い映画だ。物事を好きになること。とことん好きになり、のめり込み、それを表現すること。その素晴らしさが描かれている。主人公は、勉強とか、就職とか、そんな市場原理主義の奴隷にはならない。誰でも好きなものくらいあるのだろうが、そこを貫くかどうかである。多くは夢を諦め、個性を失っていく。

基本コメディだ。対象が好きすぎるというのは、こんなにも面白いのだ。声を出して笑ってしまう場面も多数。風変わりな魚キチガイの主役はのんしかできないだろう。彼女はまさに怪優と言っていいと思う。また磯村優斗や柳楽優弥など旬の俳優の演技がよいアクセントになっている。

ただ一つ残念なのは上映時間が長すぎること。なんとか120分までに収めれば、子どもを含め万人に勧められる映画になったと思う。(R4.10/23記)