読書6ー13『「おもてなし」という残酷社会』Ⅱ

「お客様扱い」という言葉が出てくる。サービス業に従事する労働者を苦しめるのは、ただの客を「お客様」に持ち上げる文化だ。

~「お客様扱い」の推奨が、労働者側に一方的かつ過剰な「気遣い」を促し、「お互い様」の精神が崩れつつある。これまで自然に機能していたお互いの「気遣い」の精神が上手く機能しなくなりつつある。~

かつて我が国は工業国であった。だが、今や第三次産業、サービス業中心の国なのだ。工業の衰退とサービス業の隆盛で「お客様扱い」という概念が急速に広まったのだろう。そして工業の衰退は、我が国を観光立国へとするベクトルを強めた。「クールジャパン」キャンペーンなどはいい例だ。

~過剰な「お客様扱い」が客の自己愛を不必要に増長させ、気持ちよく働ける労働環境を破壊しつつある。かつて「お互い様」の精神によってかみ合っていた「気遣い」と「感謝」のバランスを過剰な「お客様扱い」を推奨する風潮が崩してしまったのである。~

我々教員も、公共サービスを提供するサービス業だと言われても仕方がないと思う。だが、そのサービスが過剰にならぬよう自制しなくてはならない。例えば学級通信。私も若い頃、毎日のように書いたものだが、時間外労働してまで発行する必要があるのかと思う。クレーム対応も、時間外まで、保護者の長電話に付き合う必要はないと思う。我々、公務員の仕事はいわば無料で遊べる公園である。滑り台やブランコ程度の遊具しかない。もっと楽しみたいのなら、ディズニーランドとかのテーマパークに行くしかない。そのかわり有料なだけだ。(R4.6/10記)