読書『逃げ上手ほど生き上手 』 Ⅱ

逃げたくなる人が増える時代背景が書かれている。

~若い人にとっては、心から尊敬できる人が見つからない不安な時代。そして年配の人にとっては、年長者だからと言って尊敬してもらえず、かえって若者からないがしろにされそうで不安な時代。それが今の日本。~

ベテランがベテランらしさを発揮することがなかなかできない。成果主義が導入され、職場に余裕がなく、若い人の相談に乗ってやることもできない。企業も即戦力ばかり求め、人を育てようという気概がない。まあ、自分も年配だが、蔑ろとは言わないまでも尊敬などされていない。そんなことは、どこ吹く風、気にしないでおこう。

~日本の格差なんて世界の水準に比べれば、本当に小さいものです。日本人はただ格差があるという事実に今気づいて怖がっているところなんです。~

アメリカのしっかりしたお母さんは「お前はお前の意見を持ちなさい」と教えます。人はそれぞれ違うことが大前提となっている。だから意見も、自分だけの意見を持っていることが大切だとされています。~

日本社会は全く違う。例えば学校では、子どもが自分だけの意見を述べたら「生意気」「わがまま」と判断される。集団を維持することや人間関係に波風を立てないことが先決されるのだ。その図式は職員室でも同じだ。管理職にモノを言えば、ひんやりとした空気が流れるのだ。意見を主張して、目立つことが悪なのだ。

~徹底的に本心を話し合わないといけない時代がやってきます。日本人はもっと話す、聞くという訓練をしないといけません。~

「アクティブラーニング」「言語活動」「話す聞くの重視」など、文科省も幾度となくアドバルーンを掲げて話す力、聞く力を育てようと試みてきた。だが知識偏重の学力観は変わらない。入試が変わらないことが物語っている。「忖度する」「以心伝心」「慮る」など、同調圧力が強い国民性が変わらねばなるまい。