映画『草の響き (2021)』

草の響き (2021)  監督 斎藤久志

本当はショッピングモール付設のシネマで気になる映画をやっていた。だが8時台なんて流石に行けない。結局、隣市のミニシアターへ三日連続の鑑賞となった。もちろん自転車である。心を病んだ男が医師からランニングを勧められる物語。心を病む、ランニング、というのが他人事ではない気がして、評価がよいわけではないが惹かれたのだ。

評価どおり、大きな感動があったわけではないが、観てよかったと思える作品だ。

心を病んだ男がランニングを通して成長していく物語だと思っていたが、そうではなかった。これは家族の物語だ。

私も心療内科に通い、適応障害と診断された。抗うつ効果のあるセロトニン分泌のために毎日ジョギングをしている。だが私は主人公のように、距離やタイムを測ったりしない。そうすると結局は数字に追われてしまうからだ。また運動に偏っても駄目だ。医師が勧めているのなら読書もしなくちゃ。

心を病んでしまった原因は一つではない。すべての人生経験、すべての人間関係が重なって病に至ってしまうものだと感じた。だから、妻の最後の決断は正しく、そこに「ご褒美」がもたらされる。

人生はどうなるのかわからない。「どうしてこうなっちゃったんだろう」というのは愚問だ。そうなったらそうなったで対応していくしかない。ペダルを漕ぎながら、そんなメッセージを受け取った。(R3.12/12記)