映画『かそけきサンカヨウ (2021)』

かそけきサンカヨウ (2021)  監督 今泉力哉

職場は今、個別懇談会。教え子が少ない私は昨日と月曜日に固めたので、今日は午後からフリー。ちゃっかり年休をとって、自転車で隣市のミニシアターへ向かった。風もなく穏やかな日、絶好の映画日和だ。

「これはいつの時代だ」この映画を観て、まず思った。古風な喫茶店、ホーローの流し台、LPレコード。全くの昭和ではないか。監督はきっと『東京物語』など日本映画の巨匠、小津安二郎の作品をオマージュしていると思う。手を伸ばせば届くような日常を題材にしているところ。大きな波もなく淡々とした会話を中心に展開するところ。決して奇をてらわない、主張しない。だが芯で伝わるものがある。

ヒロインの志田彩良とは初めての出会い。清楚で可憐な彼女は「サンカヨウ」をイメージに選ばれたのだろうな。画像に出ていないときも、「あの子どうなっただろうな」など気にかけて離れないくらい印象的な役を演じていました。

展開自体は上白石萌歌の『子供はわかってあげない』と似てなくもない。しっとり、じわじわ、今まで味わったことのない余韻を残す良作だと思います。(R3.12/10記)