読書『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル)

夜と霧 新版 単行本 – 2002/11/6 ヴィクトール・E・フランクル (著), 池田 香代子 (翻訳)

著者はナチス強制収容所に入れられた。本書はそこでの過酷な体験をまとめたものである。今まで読んだ本にも、この著者、そしてこの著作はよく目にすることがあった。生きることの意味を問う名著なのだ。

~愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだという真実。愛により、愛の中へと救われること! 人はこの世にもはや何も残されていなくても、心の奥底で愛する人の面影に思いを凝らせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれるということを私は理解したのだ。~

~悲惨な状況にあっても人は内に秘めた愛する人のまなざしや愛する人の面影を精神力で呼び出すことにより、満たされることができるのだ。~

男女の愛、親子の愛、さまざまだろうが、愛し愛される相手を持つということはとても大切なことなのだ。愛し愛される経験は、極限状態を乗り越える力を持っているのだ。愛するってその時だけに終わらない。それが互いの経験となり、悲惨な状況を乗り越える支えになる。

~わたしたちは現実には生に終止符を打たれた人間だったのに、あるいはだからこそ、何年もの間目にできなかった美しい自然に魅了されたのだ。~

これはたしか強制労働を終えたときに見た夕日の美しさに心打たれた時のことだったと思う。絶望的な状況においても、自然の美しさは感動を与え、人間らしさを取り戻させてくれる。人間も自然の一部だということもうなずける。(R3.11/9記)