読書『死ぬな: 生きていれば何とかなる』Ⅵ

私は3年前まで、ある教育研究サークルに通っていた。そこでの講師の先生に感化され、その先生に少しでも近づきたいと思っていた。

~誰もみな優等生や立派な人になれるわけではありません。立派な人の人生を見ることで自分もそうならなくては生きる意味がない、などと思い込む人がいるとしたら、かえって問題だと思います。~

その人の講演を何度も聞き、その人の著書を買い集め読み漁った。それこそがむしゃらに努力した。「先生のようにならなくては」というのは思い込みだったのだ。

~褒められた生き方をしていなくとも、それなりに精一杯したたかに生きている人が世の中には大勢います。決して清廉潔白とは言えなくても、生きる意欲をしっかり持った人に、強い共感を覚えます。一人でも多くの人が世間体を基準とした思い込みを捨て、生きる意欲に正直になってほしいと思っています。~

~いつもオシメを交換してもらっていました。それこそ「惨め」と感じる人がいるだろう。でも自分はいま、幸せだ。それでも生きていればこうやって世界の動きを知り、外のいろいろな景色だってテレビを通して見られる。これだけでいい。ただ肉体がここにあれば、それでいいと。~

やはりぎりぎりのところで生きてきた人ならではの意見だ。肉体がここにあるだけでいいのに、私は働かせてもらっている。仕事上の困難なんてどうでもいいじゃないか。定時で帰らせてもらっている。帰る家がある。自由に使えるお金がある。自分の今ある境遇の何が不満だ。有難みを感じなければ嘘だ。