読書『労働法入門』Ⅶ

今回がラストだ。

~それぞれの人にそれぞれの考え方があることをお互いに尊重し合いながら、自分の信念や選択に従って生きていく自由がそれぞれの個人にある。この個人の自由を尊重し合うことが日本の企業社会や労働者にとってこれからの一つの重要な課題となる。~

個人の自由を尊重し合うこと。個人の自由を尊重しようという気持ちがあれば、勤務時間を超えて労働者を拘束しないだろう。職員が、好きで残っているのか、そうでないのかくらいは使用者は確認すべきだ。

~自分の権利が損なわれた場合には、誰か(どこか)に相談し、適切な行動を取るべきである。また、自分自身のためにも、自分が属する組織や社会のためにも、集団の構成員として積極的に発言をしたり、活動を行い、集団的なネットワークにおいて国家や個人の能力や情報の限界を補っていく役割を担うことが期待される。~

私は自分の権利が損なわれたときに適切な行動をとるだろう、組合を最大限活用して。だが、それ以上の役割を果たそうとしない。それが気にくわないのだ。

自分自身はともかく、属する組織や社会のために積極的に発言しているだろうか。活動しているだろうか。自分は、自分の利益、権利だけを守ろうとしているのだ。だから自分は、本当は、もう一歩踏み出さなくてはならないのだ。

~変革の鍵を握っているのは、現場で働いている労働者の声とそれを受け止める会社の姿勢である。一人ひとりが個人として自分の生き方や働き方を決め、「集団」の中で自分の意見や考え方について発言することによって会社や社会の持続的な発展に貢献し、また、民主主義のプロセスを通じて「国家」の在り方にも関与する。労働法は人々の意識や社会のあり方と深く結びつきながら動態的に変化していく。~

受け止める会社の姿勢はどうかわからないが、労働者の声を、自分は発しているか。自分の意見や考え方について発言しているか。自分ができることをしないで、労働法と実態の乖離を嘆いても仕方がないのだ。(R3.9.9記)