読書『不幸な国の幸福論』Ⅻ

幸せへのヒント、それは自然に対する畏敬の念。

~自然の中に身を置いたとき、あるいはまた生命の神秘に触れたとき、人間を超えた大いなる力のようなものを感じる人は多いでしょう。人間には決して作ることのできない美を生み出した何ものかを前に誰しも謙虚な気持ちになるはずです。~

壮大な自然を前にすると、自分の置かれた境遇などちっぽけなものに映るのだろう。

強制収容所という極限状況の中ですら、自然が見せてくれる美には心を慰め、励ます力がある。自然に親しみ、その力を生きる糧にすることで、人間は希望を持ち続けることができるのだ。~

先週の日曜日、登山靴とカッパを買った。この夏、山に挑むために。自分としては新しい趣味、新たなチャンレンジだ。

もう一つのヒントは、人間という存在に立ち返るということ。

~人間として生まれてきたということは、それぞれの人が38億年間、一度も負けていないことなんです。勝ちっぱなしということです。~

自分とか、個人とかという枠ではない。自分は人間という種類。人間としては絶滅していないということだろう。

~今ここに生きているということだけで人間一人ひとりが勝ち組なのだ。わずか24時間しか寿命のない卵子を目指して数億個の精子が泳いでいき、基本的に一個だけが受精できる、誰もがシビアな競争を経て生まれてきたのだから。~

生きているということだけで、すでに勝っている。だからもう十分だ。負けてやろう。譲ってやろう。怒られてやろう。競ったり、抜きん出ようとしたりすることも止めよう。もっと、今の、ニュートラルな「幸せ」に浸ろう。