映画『BLUE/ブルー (2020)』

BLUE/ブルー (2020) 監督 吉田恵輔

子どもの前でなければ教師ではない。そんな持論はいいとして、1時間の年次休暇を取り帰宅。ジョギングをした後、隣市のミニシアターに向かう。この劇場で観るのは2日連続となった。

本作は超過激な『ヒメアノール』の監督だ。だが、この作品はとても印象的で、考えさせられる部分もある良作である。

主人公(松山)はよく「基本」を口にする。しかし、彼自身はまったく試合に勝てない。いうまでもなく基本は大切だ。だが試合に勝つには基本だけではダメで、そこからの工夫や独自性のようなものが必要なのだろう。

主人公と対比されているのがチャンピオン(東出)だ。だが、彼も、主人公を一目置いている。「なんて強いんだ」というシーンだ。勝負に勝つのと、強さとは違う。ボクサーとして強いのではなく、人間として強いかどうか、なのだ。

物語の後半、新人(柄本)とチャンピオンが試合に向かっていくところから、闘いに相応しいBGMが流れた。ということは、主人公の試合は、闘いではなかったということか。新人の試合で、私は泣きそうになった。新人と一緒に主人公も闘っていたのだ。前日の退屈な分を取り戻させてくれた、いい映画です。