読書『不幸な国の幸福論』Ⅺ

命には限りがあることを知ることも幸福のヒントなのだ。

~人は誰もが本質的には死刑囚であり、この瞬間も死に近づいているのだということを、忘れっぽい頭に思い出させてやってください。そうすれば、限りある時間を、家族や友人を、そして自分自身を、今よりもっと大切にできるようになる。~

私が最近、心を向けていることがある。寝る前に、もうこれで自分も終わりかなと。そして朝目覚めたら、一日もうけたな、と思うようにしている。もうけものの一日だから、周囲に役に立つ一日にしようと思うのだ。悔いのない、有意義な一日にしようと思うのだ。Xデーはいつ来るか分からない。だから、もう来たものと思えばいい。

~人間の一生は一瞬に過ぎない。しかし限られた時間しか生きられないからこそ、生きていくことの有難さが分かる。目的に向かって努力をし、希望というものを抱くことができる。短い命の人間同士が出会い、つながり合えたことの奇跡を喜べる。死によって命を限られている事もまた、人間に与えられた恵みなのだ。~

生きていること、命を与えられたことに感謝すること。これも知足という考え方だろう。

~より多くの、よりよきものを残して、この世を去りたい。そう願って、自分なりに良く生きようとすることが今この時の幸せにもつながっていく。近い未来に死が確実に待っているのが分かっていてさえ、その時々の自分に合った目標を持つことにより、人は希望を携えて生きることができる。人生を充実させることができる。~

幸せになりたいとか、幸せを追い求めることではない。よりよく生きようとすることが、結果として、幸せであるということだ。自分は、今、どれだけよりよきものを残せただろうか。そう考えるとつらくなるが、とりあえず、今日という日をみんなの役に立つ、それでもって自分にも有意義な一日にしよう。