映画『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事 (2021)』

生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事 (2021) 監督 佐古忠彦

映画の日。隣市のミニシアターで夕方から鑑賞するのは久しぶりだ。この作品は、かつて都会でも上映されており、圧倒的高得点を叩き出していた。少し遅れても評判のいい作品を上映してくれるミニシアターの存在は有難い。

私はこの知事の名前を知らなかった。一億玉砕という風潮の中で、前任者も軍と協力すると約束した中で、県民の命を守ろうと悪戦苦闘したのだ。私も社会科教師の端くれなので、当時の日本軍が、沖縄戦でどのような愚行をしたのかは知っていた。

知事と接触のあった人、沖縄戦を生き残った人の体験談は独特の重さがある。また、映像では、まだ現地にいくつも残っている壕が映し出される。こんなところにたくさんの人が、長い間、身を隠さざるを得なかったのだ。そこで、日本軍は民間人に愚行をしたのだ。実際にその場にいるような気になった。ただ現人神のためであれば、敵も自国民も見境なくなるのだろうか。

周囲に「生きろ」と言いながら、自分は命を閉じざるを得なかったのは分かる。でも、生き抜いてほしかった、と思うのは浅はかだろか。エンディングに、久しぶりに聞いた小椋佳の声。その曲も訴えるものがあった。高得点にふさわしいドキュメンタリー映画である。