読書『流されて生きなさい』(枡野俊明)

流されて生きなさい 単行本 – 2017/9/24 枡野 俊明 (著)

著者は「世界が尊敬する100人」に選ばれた禅僧だそうだ。購入履歴を見たら、私はこの本を休職する前日に購入していた。

~どうして自信が持てなかったり、自分のことが嫌いになったりするのか。それは自分と他人を比べているからです。必要以上に比べることをしてはいけない。小さな妬みが自分を否定することにつながる。あなたにはあなたの生きる道がある。~

私はそれまで全国組織の民間教育研究サークルに所属していた。その組織の中心人物に憧れ、自分も近づこうと努力していた。その人の講演を遠方からでも何度も聞き、その人の著書を買い集め、その姿を追い求めた。

自信が持てないから他人と比べるのか、他人と比べるから自信が持てないのか分からない。だが、その時は「自分には自分の生きる道がある」と思えなかったのだ。教師として自信がなかったから、理想の教師像を追い求めたのかもしれない。比べて、落ち込んで、傷つかなければ、気づかなかったのかもしれない。

~自分には自分の人生があり、自分が歩むべき道がある。それなのにその道を一生懸命に歩く努力を怠って、他人の人生と比べてばかり。それは「他人の人生に流されている」ということになる。~

他人の人生と比べる気持ちはわかる。要するに自信がないのだ。我々は皆、基本、競争させられてきたのだ。他人と比べないと自分が正しいのか、間違っているのか分からないのだ。

~いくら努力をしても手に入らないものを追い求めることで、やがては自分はダメな人間だと思うようになるのです。自分に足りないものを追い求め、必死になって足し算をしようとすることは抱えきれないものを抱えようとする、自分の心を苦しめているのだと思います。~

私は理想の教師像を追い求め、必死に努力することで、無敵の力を得ようとしていた。それこそ足し算だ。だが、そうやって得た力も、すべてに通用するとは限らない。そんな時、自分に裏切られた、努力に裏切られた、という気持ちになってしまった。そのように自分の心を苦しめていたのだ。