映画『ある人質 生還までの398日』

ある人質 生還までの398日 (2019)SER DU MANEN, DANIEL/DANIEL
監督 ニールス・アルデン・オプレヴ アナス・W・ベアテルセン

隣市のショッピングモール付設の映画館で朝一番に観賞。ショッピングモールは一部開店しかしていないのに、映画館は営業している。ショッピングモールの玄関から入っても映画館にたどり着けない。入店禁止ゾーンを潜り抜け、映画館にたどり着いた。

某サイトの評価だけを見て鑑賞を決めた。怖い。本当に怖い映画だった。人質にされ、抜け出そうとするシーンは怖くて観ていられなかった。だが、これが事実なのだ。それこそつい最近の出来事なのだ。イスラム国や人質の問題については、新聞やニュースでは知っていた。だがその実態まで知ることのできる貴重な映画だ。

訪れる者は真実を伝えようという気持ちでそこに行く。だがそこに住む者にとっては訪れる者はすべて敵なのだ。いや、敵であり、交渉の道具、金づるでもあるのだ。やっぱり私は行かないなあ。

身代金が出て無事に帰る者、そして残る者。「僕は大丈夫」と言って送り出せるとは、そして、憎悪ではなく愛で自分を満たすことができるとは、なんて尊い精神なのだろうか。

私はフランクルの『夜と霧』の「わたしたちが生きることから何を期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちから何を期待しているかが問題なのだ」という一節を思い起こした。破壊力抜群の映画です。