読書『日本人が知らない幸福』Ⅲ

 

著者には姉がいる。姉は著者以上に苦労し、不遇な人生を送っているようだ。その姉の言葉が載っている。

ー「一つのカボチャの木からできる実を見ればわかるでしょう。すべての実が形も、色も、成長する速度も異なる。同じであることを要求すること自体が自然の摂理を理解していない証拠なのよ」ー

自分の不遇さも、自然の摂理として受け入れている。受け入れない者は摂理を理解できない者なのだ。得難い考え方だと思う。そんな姉について著者はこう述べている。

ー確かに彼女の人生は他のきょうだいと比べてつらくてハードなものだった。が、青春期に辛酸をなめ尽くした経験があるからこそ、彼女には、わたしや他のきょうだいにはない輝きがあるとわたしは信じたい。ー

苦労の多い人生を歩むことも輝きなのだ。きっと著者には、自分や他のきょうだいよりも姉が輝いて見えるのだろう。運命を摂理だと受け止め、生き抜くことで輝きを放つことができる。姉も姉だが、著者も著者だ。強く、そして温かい。