読書『生きる意味』(上田紀行)

生きる意味 (岩波新書) 新書 – 2005/1/20  上田 紀行 (著)

この本を入手したころ、それこそ、生きる意味さえ見出せなくなっていたのだと思う。

著者は、まず「数字信仰」に警鐘を鳴らしている。

ーひとりひとりが固有の「生きる意味」を持つ存在だということを無視して、誰に対してもいい点数を取りなさい、いい学校に進学しなさいといった言説を、何の疑問も感じずに発し続けることは、他者の人生に対する根本的な尊厳を欠いているのではないかー

私は、休職するまで、子どもに学力をつけることばかり考えていたような気がする。全員に満点を取らせようと試みたこともある。学力をつける、良い点数をとらせることが自分の仕事だと、信じて疑わなかった。

ーとにかく点数を取らせるために、生徒が一人の人間であることが無視される。その子が今どんなことにワクワクし、どんなときに一番その若者の「生命力」が輝くのかを無視して「高い点数を取る」という数字に邁進する。ー

私は、まず一人一人の子を理解しようとしただろうか。その子なりの輝きに目を向けただろうか。

ー数字での評価が「ゴール」になり、とにかく数字を上げることが目標なのだとなってしまえば教育は死ぬ。ー

私の仕事は「生きた教育」ではなかった、と言われても仕方がないのかもしれない。