読書『「私はうつ」と言いたがる人たち』 (香山リカ)

「私はうつ」と言いたがる人たち (PHP新書)

 一年前、私が調子が悪くなった時、心療内科に連絡しても、すぐに診断してもらうことができなかった。それだけ需要が多いというわけだ。2週間後にようやく診断してもらえた。その2週間をとても長く感じたものだ。

 診断名は「適応障害」。そのような診断を受けてまずはほっとした。「もう休もう」と踏ん切りがついた。自分は病気なのだ、と自分を少しずつ納得させることができた。

 この本のように、自分に都合のいいように診断してくれ、という気はなかった。ただ、今の不調が何であるか、客観的な判断が欲しかっただけだ。

ー私たちの世界を深みのある豊かなものにするためには、時間をかけて悩み、苦しみ、答えを出そうともがき苦しむことも必要なのではないだろうか。ー

きっと著者は、容易に心療内科に頼るな、と言いたいのかもしれない。それはどうあれ、私は悩み、苦しんだと思う。世界が深みのあるものになったかは分からないけど。